ラフが短くなったことで、むしろショット力とマネジメント力の差が出るようになった宍戸ヒルズカントリークラブ

開幕前、多くの選手が今年はラフが短くなったので例年以上に好スコアが出るかもしれないと語っていました。ところが始まってみると、今年も難しい宍戸ヒルズカントリークラブは健在でした。

世界に通用する選手育成のために今年からラフを短く

開幕前日、ツアーディレクターを務める田島創志氏は「ラフを例年より短く設定しました。一方で宍戸が持っている距離の長さを生かしています」と今年のセッティングについて語りました。目的は「ここで勝った選手たちが、海外のツアーにおいて、向こうの選手と同等に渡り合えるスキルを磨ける大会にしていきたい」ため。「海外では距離の長いコースに対してチャレンジする姿勢が必要ですが、日本の選手はハザードに向かってアグレッシブにいけない傾向があります。この大会では例えば池のそばに立つピンに打っていくプレーを引き出したいです」と展望を語っていました。

ツアーディレクターを務める田島創志氏

名物17番ホールは今年の方が難しい

17番ホール(Par4)は、ティショット落下地点の右サイドの芝の短いエリアが広くなりました。例年だとフェアウェイが狭くラフに入れると2打目は出すだけになるので、ティショットはフェードでないと攻めづらいホールでした。ところが今年はラフが短くなり、ラフからでもグリーンを狙える状況に。「今年はドローでも攻められそう」と語る選手がいるなど、ティショットの選手のマネジメントの選択肢は増えたようで、今年は例年よりやさしくなるのではと思われました。

ところが3日目までの17番ホールの全選手の平均スコアをチェックすると昨年が初日4.208、2日目4.992、3日目4.172だったのに対し、今年は初日4.545、2日目4.698、3日目4.385。昨年の2日目を除いては、今年の方が難しい結果となっています。なお、昨年の2日目は大雨が降り多くの選手がスコアを落とした日でした。

ショット力の差、マネジメント力の差が明確に

3日目に優勝争いをしていた星野陸也選手と岩﨑亜久竜選手の17番ホールを振り返ってみましょう。

星野選手はティショットを低いフェードボールでしっかりとフェアウェイをキープ。ラフが深い昨年までの多くの選手の攻め方と同じ攻め方で2オン2パットのパーをキープしました。

3日目を終えて11アンダーで単独トップに立った星野陸也選手

一方の岩﨑選手はティショットをドローで攻めていきましたが、少し左に行き過ぎて左のラフに。2打目はキャリーでピン近くに落としたものの、ラフからショットであることと硬いグリーンの影響でグリーン奥にこぼれてしまいます。17番ホールの奥からのアプローチは下のラインとなるためとても難しい状況に。結局アプローチは寄らずその後3パットをしてしまいダブルボギーとなりました。

以上のようにラフを短くしたことで、ラフからでもグリーンを狙いやすくなるだけでなく、ショットやマネジメントしだいでは大きなリスクもはらんでいるコースになったのです。

「海外で戦える選手を育てたい」とツアーディレクターの田島創志氏が話すようにより高度なショット力とマネジメント力が求められるようになった今年の宍戸ヒズルカントークラブ。優勝者には欧州ツアー「BMWインターナショナル・オープン」と米国男子ツアー「ZOZOチャンピオンシップ」の出場資格が与えられます。

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